●切手蒐集と日本の経済学者たちは昔から深い関係にあります。日本で最初の切手蒐集のガイドブック「趣味之郵便切手」(大正11年)を書いたのは、経済史・交通史の研究者だった三井高陽です。三井は日本において切手蒐集が国民の間に根付く上で重要な役割を果たしました。
また、ベストセラー「趣味の価値」(昭和42年)を書いた脇村義太郎は、「国際商品としての切手」をとりあげて、切手発行の経済的側面を多様な観点から解説し、切手研究の方向性に影響を与えました。最近では人物切手の名著「切手の思想家」(平成4年)を書いた杉原四郎の貢献があります。
今回はこれらの経済学者たちが、どのように切手蒐集を考え、そして集めていたのか、最近の経済問題とも絡めて、その現代的意義を話します。